GROUP INTERVIEW / PREPARATION
複数人インタビュー・座談会・FGI
文字起こしの依頼準備
「誰が話したか」だけでなく、「誰の発言を受けて話したか」も大切な場合があります。原稿の用途に合わせて、残す情報と話者表記を整理しましょう。
PURPOSE
同じ座談会形式でも、原稿の使い方は違います
複数人インタビューや座談会では、複数の参加者と聞き手・進行役の発言を記録します。FGI(フォーカスグループインタビュー)は、座談会形式で行う定性調査の方法の一つです。参加者同士のやり取りから、意見や考えを掘り下げることがあります。
文字起こしの仕上げ方は、人数や形式だけでは決まりません。記事の素材にするのか、発言内容を共有するのか、研究・調査で分析するのかによって、必要な情報が異なります。

| 原稿の用途 | 大切にすること | 依頼前に確認すること |
|---|---|---|
| 掲載・記事の素材 | 話し手の言葉と発言の流れを保ち、次の編集で使いやすくする | ケバ取りか整文か、話者名、質問を残す範囲。記事化・要約まで希望する場合は作業範囲も確認 |
| 社内共有・発言確認 | 誰が何を話したか、どの問いへの回答かが分かる | 進行役を含む話者表記、発言順、仕上げ方、必要な対象区間 |
| 研究・定性調査の分析 | 分析に必要な言葉や、やり取りの前後関係を残す | フィラー・言い直し・相づちの扱い。沈黙・笑い・重複などを記録したい場合は具体的な仕様を相談 |
FGIだから、すべてを細かく記録するとは限りません。分析の目的に必要な情報を決めてから、仕上げ方を相談することが大切です。
CONTEXT
短い反応や質問にも、文脈をつなぐ役割があります
相づちのように見える短い発言が、同意・反対・補足として分析に必要な場合があります。研究用の原稿では、読みやすさだけでこうした発言を削らないことが大切です。
「私も」を残す意味
以下は仕上げ方を説明するための架空の例です。実際の受注実績ではありません。
進行役:この商品の価格について、どう感じましたか。
P01:私は高いと思いました。
P02:あ、私も。
P03:高いというより、量が少ないと思いました。
P02の「私も」を削ると、P01の発言への同意が原稿から失われます。「あ」を残すかどうかは仕様によりますが、短いという理由だけで、意味のある反応まで削除しません。
このやり取りを「全員が価格に不満」とまとめると、P03の発言との違いが失われます。文字起こしでは発言を記録し、意見の分類や調査結果の解釈は分析の段階で行います。
進行役の質問を省くと、「私も」「そう思いません」などが何に対する回答か分からなくなる場合があります。他の参加者の直前の発言も含め、必要な前後関係を残す範囲を確認しましょう。
発話の重なりが重要な場面でも、誰が何に反応したかを文字起こし側で推測して説明することはしません。確認できる発言と順序を基準に、合意した仕様で原稿を作成します。
SPEAKER INFORMATION
話者を確認する手掛かりを用意する
人数が多い場合や声が似ている場合、音声だけでは発言者を特定できないことがあります。参加者一覧に加え、声と話者名を対応させる情報があると確認の助けになります。
自己紹介の追加や毎回の名乗りを一律に求めるものではありません。研究・調査の実施方法や自然なやり取りに配慮し、取り入れられる準備を選んでください。すでに録音済みで、一覧や映像がない場合もご相談いただけます。
資料や映像を確認しても特定できない発言者は、推測で割り当てません。話者不明の箇所をどう示すかも、原稿の仕様として確認します。
SPEAKER LABELS
話者IDは、原稿を使う場面に合わせて決める
実名、役割名、A・B・C、P01・P02など、必要な話者表記をお知らせください。進行役・補助者も区別する場合は、それぞれの表記を決めておくと分かりやすくなります。
話者表記の例
進行役:M
補助者:M2
参加者:P01、P02、P03
これは説明用の例です。特定のコードを標準とするものではありません。
複数回の収録では、同じ人に共通のIDを使うか、各回で振り直すかも確認しましょう。別の参加者がいる収録で同じP01を使う場合は、ファイル名やグループ名と組み合わせて区別する方法もあります。
実名が不要なら、IDと声を対応させる資料だけで相談できるか、事前に確認してください。実名とIDの対応表は、共有が必要な範囲を依頼者側で判断します。
話者名をIDにすることと、発言内容に含まれる氏名・勤務先・地名などを置き換えることは、別の指定です。本文中の置換を希望する場合は、対象とルールをお知らせください。対応範囲は事前に確認します。
SPECIFICATION
必要な記録を、具体的な例で相談する
「詳しく残したい」「研究用に」と伝えるだけでは、記録の範囲が一致しないことがあります。指定ルールや参考原稿があれば、希望する形が分かる部分をご共有ください。
- フィラー・言い直し:「ええと」や言いかけをどこまで残すか
- 短い反応:同意・否定・相づちをどのように扱うか
- 質問・発言順:進行役や他の参加者の発言を含め、どの範囲を残すか
- 話者表記:使用するID、複数収録間の対応、話者不明時の示し方
- 追加の記録:沈黙・笑い・重複発話・時間表示が必要か
沈黙の秒数計測、重複の開始・終了位置の記号化、細かな時間表示などは、記録方法によって作業範囲が変わります。必要な仕様をご提示いただき、対応可否・納期・料金を事前に確認します。
笑いなどを記録する場合も、「困って笑った」「賛成して笑った」といった心情を推測して加えるものではありません。観察できる情報をどのように示すかを確認します。
会話の自然な重なりを、文字起こしのためにすべてなくす必要はありません。一方、声が重なると聞き取れない部分が生じることがあります。残したい情報と、実際に確認できる音声の範囲を区別して相談しましょう。
CHECKLIST
依頼前に確認したい6項目
- 原稿の用途:記事の素材、社内共有、研究・調査の分析など
- 素材と対象範囲:ファイル数、収録時間、起こす区間。複数の素材がある場合は、同じ収録か別の収録か
- 参加者情報:参加者・進行役の人数、話者ID、自己紹介や発言メモの有無
- 仕上げ方:逐語的に残すか、ケバ取りか、整文か。質問や短い反応の扱い
- 参考資料:質問票・インタビューガイド、参加者一覧、用語表、指定書式。席順や動画がある場合はその有無
- 追加条件:本文中の指定表記、必要な時間表示・記号、希望納期、共有や保管に関する指定

資料は、確認に必要な部分を共有できる範囲でご用意ください。すべてをそろえる必要はありません。録音前であれば、短い録音を聞いて全員の声が確認できるか確かめておくことも、準備の一つです。
依頼文の例:研究・調査用
「FGIの分析に使う原稿です。参加者5名と進行役1名で、話者はP01〜P05とMにしてください。質問と回答、短い同意・否定、言い直しは残したいです。質問票と冒頭の自己紹介があります。沈黙や重複の細かな記号はまだ決めていないので、必要な範囲を相談したいです。」
依頼文の例:座談会の記事素材
「3名の座談会を記事にするための素材です。話者名と発言順を保ち、ケバ取りでお願いします。参加者一覧と用語メモがあります。記事化まで依頼する場合の範囲と費用も相談したいです。」
いずれも仕様相談のための架空の例です。
FAQ
複数人の文字起こしについてよくあるご質問
FGIは必ず素起こし・逐語録にする必要がありますか?
一律には決まりません。発言内容を中心に見るのか、言い直しや相づちなども分析するのかによって、必要な仕様が異なります。用途と残したい情報をお知らせください。
参加者全員の発言を正確に話者分けできますか?
録音状態、発言の重なり、声の似方、参考情報によって確認できる範囲が変わります。資料を確認しても確定できない発言者を推測で特定することはしません。素材とご希望を確認してご案内します。
席順の資料があれば、音声だけでも話者を確定できますか?
席順は補助情報ですが、それだけで声と人物の対応が分かるとは限りません。自己紹介や発言メモなど、他の情報と組み合わせて確認します。
動画を新しく用意する必要がありますか?
新たな動画収録を一律にお願いするものではありません。すでに収録した動画を共有できる場合は、話者確認に使えるか相談できます。まずはお持ちの素材をお知らせください。
沈黙や笑い、発話の重なりも記録できますか?
記録の範囲・記号・細かさを確認して、対応できる内容をご案内します。秒数計測や詳細な重複記号などは、参考原稿があれば共有してください。通常の原稿に一律で付く仕様ではありません。
複数のFGIをまとめて依頼できますか?
複数ファイルのご相談も可能です。グループごとの参加者情報、共通または収録別の話者ID、対象区間をお知らせください。共通の仕上げ方と、各収録で異なる指定を分けて共有すると確認しやすくなります。
CONTACT
参加人数と原稿の用途から、ご相談ください
仕上げ方が決まっていない場合も、原稿を何に使うか、どの情報を残したいかをお知らせください。素材とご希望を確認し、対応できる範囲・納期・料金をご案内します。